カリフォルニア州の心理職の資格はどんなものがあるのか?
アメリカの一般的な心理士資格は、州により管轄される州資格として存在しています。その他さまざまな証書や民間資格も存在していますが、基本的に、この州資格を取得していることが『心理士』と信頼される条件となっています(余談ですが、アメリカの一部の州では、アートセラピーも州資格化されています。その際、州心理士資格試験と同等の専門試験を受けます。)
それでは、カリフォルニア州の心理職資格とはどのようなものがあるのでしょうか?
Clinical Psychologist(臨床心理士・サイコロジスト)
診断、アセスメト、カウンセリング、州によっては薬の処方も。カリフォルニア州の場合、薬の処方は出来ないそうですが、公式の疾患診断書などを作成することが出来ます。博士号取得の後、定められた研修期間を終了し資格試験の資格を与えられる。
Licensed Clinical Social Worker (LCSW) (ソーシャルワーカー)
心理カウンセリング・心理療法、ケースマネジメントなど、クライアントさんの心のケアや行政サポートなどを行います。修士号取得の後、定められた研修期間を終了し資格試験の資格を与えられる。
Licensed Marriage and Family Therapist (LMFT)(マリッジ・アンド・ファミリーセラピスト)
心理カウンセリング・心理療法がメイン、場合によってはケースマネジメントなどソーシャルワーカーと同等の活動もします。修士号取得の後、定められた研修期間を終了し資格試験の資格を与えられる。
Licensed Professional Clinical Counselor (LPCC) (プロフェッショナル臨床カウンセラー)
心理カウンセリング・心理療法がメイン、場合によってはケースマネジメントなどソーシャルワーカーと同等の活動もします。修士号取得の後、定められた研修期間を終了し資格試験の資格を与えられる。
Psychiatrist(精神科医)
薬の処方、TMSなど医療的側面からの治療がメイン。
一般的にカリフォルニア州のメイン心理士資格といえば、ソーシャルワーカーとマリッジ・アンド・ファミリーセラピスト、そしてサイコロジストです。LPCCはカリフォルニア州では比較的最近出来た新しい資格ですが、他州ではこちらの資格の方が有名らしく互換性があるとのことでこちらを取得する方も増えてきており、これからもっとカリフォルニア内でも増えてくる可能性があります。資格的にはソーシャルワーカーとマリッジ・アンド・ファミリーセラピストと同等に扱われています。
これらの資格保持者は、全て州法に基づいて心理カウンセリングを提供することが求められており、臨床心理の知識も経験も州が求めるレベルの基準を維持すると認められた者に限られています。そのため、アメリカで心理カウンセリングをお求めになる際は、上記にあるような州の有資格者をお探しされることをお勧めします。
州資格の互換・移行性について
アメリカは州によって法律が少し異なっており、基本的に、カリフォルニア州心理士資格はカリフォルニア州内のクライアントに心理サービスを行うことを許諾する資格として存在しています。それはつまり、カリフォルニア州在住者相手に心理士の活動をしたい場合はカリフォルニア州の免許を取ってね、という解釈になります。そのため、カリフォルニア州在住者に日本の心理士資格のみでカウンセリング業を行うことは厳密には法律違反になります。
また、カリフォルニア州の心理士が、心理士資格の規制がない国(日本を含む)の居住者を除く、心理士資格の法律規制がある国・地域(カリフォルニア州以外の州)の住民へカウンセリングをすることは出来ません。
コロナパンデミックの影響を強く受けた2020年~2021年は、州間の規制が一部解除されていたのですが、一般的には、もし他州の心理士資格を保持したい場合は、その州への移住が条件になっていたり、その州の設ける資格試験や資格条件をクリアする必要があったりします。その場合、ソーシャルワーカーとLPCCは、他州でも広く受け入れられている資格のため、マリッジ・アンド・ファミリーセラピストよりもこの互換・移行手続きがスムーズであるそうです。
州資格の管轄場所とは?
サイコロジストを除くカリフォルニアの心理士は、California Board of Behavioral Science (BBS) で管轄されており、Consumerページから、心理士の名前を検索をかけて、その心理士が有資格者か確認することが可能であり、法律・倫理違反の心理士の通報などもこのウェブサイトを通じて出来ます。
サイコロジストの場合は、California Board of Psychologyが管轄しています。これは、その他の州でも一緒で、その州の資格管轄所から資格所有者を確認することが出来ると思います。
精神科医と心理士の関係について
精神科医と心理士の関係について、「日本では精神科医にクライアントの治療方針の権限があるため、カウンセリングをする際に心理士が担当医師の同意を取らなければならない」といったことを聞いたことがあるため、一つ補足を付け加えたいと思います。
上記のコメントについての普遍性は分かりませんが、少なくともカリフォルニア州では、医療施設などチームでクライアントを担当するような形態の場所を除き、精神科医はお薬や医療的な治療を担当し、心理士は心理療法の方針を全面的に担当するなど、上下関係が存在せずクライアントさんを診ていることが一般的です。これは大分日本とは違う部分かもしれません。
心理セラピスト・吉澤やすの
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