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  • 執筆者の写真ヤス@BUNKAIWA

日本で心理カウンセラーの資格が統一されていないことによる3つの問題点




最近ツイッターを始めて気づいたのですが、日本では心理カウンセラーの資格が統一されていないようです。


アメリカ・カリフォルニア州で厳しいトレーニングと州の資格試験を経てやっと心理カウンセラー(心理セラピスト)と名乗れることが許されたわたしにとっては、これはかなりの大衝撃でした。


日本でも、厳しい習得必須条件をくぐり抜けた方だけがなれる臨床心理士や国家資格公認心理師が存在しているにも関わらず、個人が設立した比較的取得が容易な民間資格を通じ心理カウンセラーを名乗れる人が存在することは、心理業界にとっても利用者にとっても大きな不利益なのではないかと考えます。


この記事では、心理カウンセラーの資格が統一されていないことの何が問題なのか、アメリカから客観的にですが、3つのポイントに分けて具体的に問題定義してみたいと思います。


何が問題なのか

①心理カウンセラーという存在の定義があやふやで、社会的信用度が極端に低く誤解されがち。


『心理を扱う者』=心理カウンセラーになれる基準が国家資格として統一されていないため、『心理カウンセラー』が実際にどのようなことをする人なのか、どのような利用効果があるのかが、その専門性と共に社会的に広く認知されません。『心理』と名がつく職種に法的拘束力がないために、現状このような問題が起きていると考えられます:


  • 立場を悪用して詐欺や犯罪まがいの行為をしようとする人が混在して被害者を出してしまう。

  • ボランティアのお悩み相談も心理カウンセリングになるなら、なぜ『心理カウンセラー』にお金を払う必要があるのか。費用と対価の基準が極端に低いため、専門性のあるカウンセラーのサービス料を破格と感じてしまう。行政や自治体も、心理ケアをボランティアで賄おうとする。結果、あまり効果が見込めず心理カウンセリングが軽視される。

  • 『心理カウンセラー』に通うこと、お金を払うことに対して社会が偏見を持ちやすい。

このような状況が作られていることによって、本当に心理カウンセリングを必要としている方々に適切なサービスが行き届かず、心理カウンセリング自体に誤解を持つ方や心理カウンセリングに消極的な方があとを絶ちません。


②心理カウンセラーによって専門知識や経験、責任能力に大きな差がある。その結果クライアントを傷つけてしまう場合も。


心理カウンセラーになれる基準が定まっていないため、大学院を卒業後臨床経験を何年も積んだ心理カウンセラーもいれば、数時間の講座を受けただけの心理カウンセラーもいます。表向きは同じ『心理カウンセラー』なので、サービスを必要とし急を要している相談者がぱっと見で間違ってしまっても無理はありません。むしろ知名度や認知度はマーケティング能力によるものが大きく、人気を信用度と見てしまう誘導操作も多々見受けられます。


そして、正規のトレーニングを受けていない方が心理カウンセラーになってしまった場合、彼らの相談者が適切な治療(心理の技術的な面も法律倫理的な面も)を受けられる可能性は低く、その結果症状がさらに悪化してしまう。そしてもう二度とカウンセリングには行きたくない、心理カウンセラーに通うことの効果が信用できない等二次被害が発生する可能性が増えます。


③精神的な問題で悩んでいる方がどんどん追い詰められていく社会構造が無くならない。


心理カウンセリングは、心の不調を整えるために存在しています。なので本当は、「何かが少しおかしい」と本人が感じた時に受診されるのが理想です。日本のようにうつ病が蔓延し自殺が社会問題となっている国で、ここまでカウンセリングが浸透していないのは、とても不思議、むしろ不気味です。未だに根性論が推奨され、本当に社会生活が出来ないレベルまで体調が崩れてからでないと助けを求められないような社会体質に大きな問題があると思います。


心理カウンセラーの資格基準が統一されていないことからくる『心理カウンセリングのイメージの悪さ』『胡散臭さ』『科学的な治療効果や正しい知識が正確に認知されていない』『ただで受けられるならお金を払う意味がないイメージ』等は、慢性的にうつ病やその他メンタルヘルスの悩みを抱える人が、専門家にさらに助けを求めにくい状況を作り出していると考えられます。


そして『社会的信用度』の大切さをここで強調しているのは、相談者が心理カウンセリングを受けることを望んでも、社会的信用度や世間体を理由に家族や周囲の人が支援に消極的な場合も多々あるからです。


本当の心理カウンセリングとは

心理カウンセリングの最終ゴールは、相談者が心理カウンセラーとの対話を通じ、自身で問題解決の糸口を見つけ逆境力を身につけていくこと。そのため、心理カウンセリングのセッションは、心の筋トレジムのような位置づけです。仕事や人間関係でストレスを抱えてしまった人が、自分の思考・行動パターンを見直し、どこにストレスがかかっているのか、どうしたらストレスを軽減できるか、自身のことを客観的に冷静に見つめ自分をコントロールする力を得ることを心理カウンセラーはサポートするのです。


心理カウンセリングは相談者本人が自身の力で対応できるようになっていくことを目指す、論理的科学的に確立した治療法です。


心理カウンセリングに通うための第一歩が踏み出しにくい

もし『心理カウンセリング』というものが、風邪や怪我をした時に受診するクリニックのような扱いで社会から受け入れられていたら、どれだけ気軽に通える人が増えるでしょうか?


わたし自身、心理カウンセラーとして活動していて一番感じるのが、この心理カウンセリングに通う事に対する恥や劣等感、自己否定感を感じる人が圧倒的に多いという事。カウンセリングが浸透しているアメリカでさえ、このように感じてカウンセリングを受け入れられない人もいるくらいなので、心理カウンセリングの資格が混沌としている日本ではもっとそのように感じている人が多いとしても無理はありません。


わたしは、これは日本政府や心理関係の由緒ある学会がきちんと線引きする必要があるような気がしています。そして同時に、心理カウンセリングの正しい知識の共有も社会全体に広めていく必要があると思います。


少子化についてを騒ぐ前に、現在を生きている若者たちが自ら命を絶っている現実に、もっと目を向けて欲しいものです。そして、プロフェッショナリズムに欠ける心理カウンセラーが淘汰され、相談者が適正な支援を受けられるシステムが作られていきますように。今後も心理カウンセリングについて、正しい情報を発信していきたいと思います。


心理カウンセリングに関して質問があればコメント欄やメールにて連絡を受け付けています。どうぞご利用ください。contact@bunkaiwa.com



クロスカルチャーコンサルタント・BUNKAIWAのヤスでした。

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